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高齢者の特徴 – 高齢者の体の特徴

東洋医学からみた「高齢者の特徴」

文責 有限会社ラサルーテ 石原貴司より

2章 高齢者の体の特徴

◯ 組織の硬化 ― 水分減少と脂質減少

高齢者の体の特徴は「硬い」ことです。関節を構成する靭帯や腱、筋繊維、血管全てが 柔軟性と弾力を失い硬くなります。特に関節の変形などが多いのですが、私の知る限り原因の追究がなされずに電気を当てられたり、痛み止めを処方されたり、マッサージをされたりとしっかりした処方なしの治療を受けておられることが多いようです。

原因はこれまでに記してきたように水分の低下です。細胞、組織の70 パーセントは水分です。組織の水分が低下すると乾燥して硬くなります。干物がいい例ですね。特に靭帯や腱はゴムのような膠(にかわ)成分ですから十分な水分を必要とします。この靭帯や腱の水分が低下すると非常に硬くなって伸びなくなり、やがて収縮します。これが変形の原因です。

表面には十分水分があってふくよかな方でも、関節や筋組織など深部の、本当に水分を必要とする場所へ循環できていないことがほとんどです。
ここで水分不足の原因を整理すると、物理的な量の不足、吸収力の低下、循環の不完全の3つの要素が考えられます。それぞれの対処法を考えると、

◯ 物理的水分量の低下

水分摂取を促し吸収力を高める。また皮膚からの蒸発(不感蒸散といい、体温調整や水分調整のために皮膚からは水分が常に蒸発している)を最小限にするために部屋の湿度を十分に保つこと。空間の湿度が高いと蒸発が最小限に食い止められます。またカイロや電気毛布などの長時間使用を控える。特にコタツは乾燥して水分の蒸発が著しいため喉などの粘膜まで乾燥してカゼをひきやすくなるので要注意。

◯ 吸収力の低下

前記の様に小腸の機能を高めるようマッサージ。また歩行を促し、歩行が無理であれば座位の時間を増やすよう指導する。座位で上半身をひねる運動。最近高齢者は1日2リットルの水を摂るようにとよく言われますが、吸収力が低下しているので多く摂取すると冷えやむくみの原因になったり、泌尿器系への余計な負担になったりします。程々の摂取と空間の加湿によって蒸発を防ぎ水分を維持するような処置が重要です。

◯ 循環の不完全

マッサージにて血行、リンパの循環を助ける。マッサージは筋肉をほぐすものと考えがちであるが、実際には血行や神経の状態を調節することが主眼であり、その結果として筋肉が柔軟性を取り戻すものである。また循環改善の治療は薬も少なく、唯一の治療手段として自信をもって行う。この場合、強く押したり揉みほぐすのではなく、さするように、あるいはツボをじっくり押さえるのが好ましい。

もうひとつの硬化の原因は脂質の減少です。高齢者の方は食事が粗食になりがちで、栄養摂取に偏りが生まれます。特に減少するのは肉類です。肉類は当然のことながら摂り過ぎは良くないのですが、摂取量が減少すると関節や脳神経に欠かせない脂質が減少します。(神経組織や脳、ホルモンの多くは脂質から形成されています。)

コレステロールが高いということが病気の悪因といわれ摂取を控えるように言われていますが、実際にはコレステロール値が高い方でもあまり摂取しておられない方も多いのです。ではなぜコレステロール値が上がるかというと、血中のコレステロール量は肝臓が調節しているため、値が高いといわれている方の大半は肝臓の機能低下と考えられます。東洋医学ではコレステロール値が高いというと肝臓・胆嚢の機能低下を考えます。病院ではコレステロール値が高くても肝臓の検査数値に異常がなければ肝臓には問題がないとしてしまいますが、血液検査に表われる数値はあくまでも物理的変化(肝細胞の破壊や炎症) の数値であり、機能低下の段階では数値としては表われません。つまり、摂取量の問題ではなく、体の中で脂質の量がコントロールできているかどうかが重要なのです。

〇 腰の変形

変形は関節だけでなく腰にも起こる方が多いものです。腰が「くの字」に曲がった方は音ほど見かけなくなりましたが、それでも少し前傾姿勢で歩いておられる方を多く見かけます。これもやはり水分不足から起こります。東洋医学では腰は先天の気、特に陰気の宿る場所として重視します。陰気=体液の全体的な不足が腰の変形を起こします。医学的には腰椎間の椎間板の萎縮や骨組織そのものの変形が原因と考えられていますが、これもやはり水分の減少が関与していることは間違いないでしょう。

変形の進行を予防し、現状を維持するためにも水分の調整が必要となります。高齢者に対しては、他の身体的変化に対しての処置も含めてですが、状態を改善するのは非常に難しいものです。とにかく現状を維持できるように努めること、現状維持ということが非常に困難であるがゆえに繰り返し自信を持って行うことが重要であることを常にサービス提供者側が認識しておく必要があります。

腰の変形のもうひとつのパターンは、みぞおちの詰まりです。歩行時腰が曲がっている方の中で、仰臥位で寝てもらうとまっすぐに伸びる方があります。骨や椎間板の変形の場合は仰臥位にはなれても背中が浮いたり頚が上に向いてしまったりします。まっすぐに寝られる方は脊椎などには問題がなく、横隔膜が収縮している場合があります。横隔膜は肋骨の内側、みぞおちから扇状に背中まで広がっている筋膜ですが、この横隔膜の柔軟性がなくなっていたり胃腸にガスが溜まって圧迫されていたりすると横隔膜が伸びずに前かがみになります。この場合はみぞおちの辺りや肋骨下縁をさすったり、胃腸を動かす運動(後述)をします。胆経のマッサージ(後述します)も効果的です。また食事指導などで胃腸に負担がかからないよう注意を促してください。

〇 下肢の弱体化

高齢者に特有の歩行困難、認知症、寝たきりなどは、骨折や打撲をきっかけに引き起こされることが非常に多いものです。これらの多くは転倒することで起こります。転倒する原因は大まかに2種類で、「つまづく」と「膝の脱力」です。いずれも下肢の筋力不足から起こるのですが、「つまずく」は前脛骨筋(足のすねの筋肉)の萎えから足首が持ち上がらず足先が下方を向いてしまい何もないところでも引っかかってしまいます。

膝の力がカクッと抜けてしまう「膝の脱力」は大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の萎えから起こります。膝を伸ばして固定しているのが大腿の筋肉です。この筋肉が衰えたり、気の流れが悪くなると膝を固定して維持できずにカクッと力が抜けてしまいます。

この2つの筋肉は「先天と後天」の項に記した「後天=胃腸の気」が流れているルート= 経絡です。胃腸の衰弱や負担がこの2つの筋肉に萎えを起こす原因になります。この胃腸 の気の流れを良くすることが、前述のように健康な生命を維持する方法でもあり、高齢者に起こりやすい症状を予防する大変重要な手段にもなります。胃の経絡のマッサージや簡単な運動法、また食事の指導などで改善を促します(方法は後述)。

〇 泌尿器系の異常

高齢になると尿漏れや頻尿などが多くなり、これが原因で睡眠が妨げられたり、外出を敬遠されたりします。東洋医学的には前述の先天=腎臓の機能低下として考えます。冷えや筋肉の萎縮によって膀胱に尿を貯められなくなる、あるいは尿道の筋肉が弱って尿道を締められなくなるということが原因です。いずれも腎臓に関与する陽気の低下から起こります。従って下半身を温めるのが大変効果的です。足湯などが特に効果があります。また、下腹部を温める、臀部の仙骨部を温めるといいでしょう。全身の循環障害と冷えが強い場合は、胸椎 3番の辺りを温めます。カイロでもいいですし、ドライヤーの温風でも結構です。特にカゼ気味のときの寒気によく効きます。

頻尿や冷え、カゼ気味の場合で注意したいのはシップです。痛みや凝りでよくシップを貼っていらっしゃいますが、シップは炎症止めであり、また陽気を発散させて逃がしてしまうので後から冷えてしまいます。カゼをひいているときなどは悪寒が強くなりますので絶対に使用しないよう注意してあげてください。シップに関してはもうひとつ、長時間貼付にも注意しましょう。通気性が悪いものが多いので長時間貼ったまま放置すると皮膚呼吸を妨げます。特に夜間貼付したまま就寝するという方がおられますが、夜間は体温が下がるため冷えやすくなりますので、シップの使用は活動時の2~3時間が適当です。

3章 高齢者の健康維持・病気予防法

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