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高齢者の特徴 – 高齢者の健康維持・病気予防法

東洋医学からみた「高齢者の特徴」

文責 有限会社ラサルーテ 石原貴司より

3章 高齢者の健康維持・病気予防法

〇 膝と足関節(胃経)の座位運動 ― 胃腸機能促進、転倒予防、膝関節変形予防

これは転倒や膝の変形を予防するための西洋医学的効果と、後天の気を高める「胃の経絡(気の流れるルート)を活性化する東洋医学的効果の2つを同時に期待できる運動法です。運動の方法も簡単なので是非実践していただくよう指導してください。
運動する方は椅子に膝が90度になるように深く腰掛けます。右足からでも左足からでもいいので一方の足を、膝がまっすぐ伸びるところまでゆっくり持ち上げます。まっすぐに伸びたら今度は足をゆっくり下まで降ろします。このときゆっくり動かすのがポイントです。ゆっくりと運動することで持続的に筋肉が収縮して筋力増強と、血管を圧迫して静脈の流れを促進する2つの効果が得られます。その方の体力に応じてですが、左右合わせて20 回を 1セットとして少し時間をおいて2セットくらい行うと良いでしょう。これを1日2~3回行うのが理想的です。
足関節の運動も同じく、椅子に腰掛けて足首だけを持ち上げる運動です。すねの筋肉の強化が行えますので、つまずきの予防に大変効果的です。また胃の重要なツボが並ぶ筋肉ですから胃の活性化に効果的です。20 回を1セットとして1日3セット行ってください。
体がしっかりしている方はまっすぐ立ったまま、あるいは何かにつかまって行うとバランス感覚も養えますのでより効果的です。

膝と足関節の座位運動、大阪訪問マッサージウェルネスより

〇 腰ひねり運動 ― 腸の活性化による便秘の予防、免疫力促進、腰変形の予防

最近の研究で、大腸内のある組織が免疫と大変関係が深いことが明らかになりました。東洋医学的にも大腸は「気」を発生させて循環させる機能があると考えられている場所です。この大腸の活性化と腰の変形を予防するための運動です。運動する方はまっすぐに上を向いて寝ます。左右の膝を揃えて90 度くらいに曲げます。膝を揃えたまま右の膝を右側の床に付けるように捻転しますまた上に戻して次に左側の床に付けるように捻転します。すでに腰の変形などある場合は捻転できる範囲で行います。これもゆっくりとした動作で行い左右で1回とします。10 回を1セットとして2セット、起床時と就寝前に行うのが理想的です。

腰ひねり運動、大阪訪問マッサージウェルネスより

〇 足湯 ― 冷えのぼせの改善、自律神経の安定、下肢萎えの予防

足湯は半身浴や電気温法などの健康法とは違い治療法としての効果が期待できます。半身浴は心臓の鼓動も早まるため効果が十分とは言えませんし、電気器具は乾燥を起こすので長時間は行えません。足湯は足元だけに血液を集めることで頭や心臓にかかる血圧の負担を取り、心臓疾患や脳卒中、認知症などの予防に効果的です。それ以外の病気に対しても自律神経を安定させることで免疫力を上げて予防と治療に役立ちます。入浴よりは熱めのお湯(42~43℃)を足首がつかる程度バケツなどの容器に入れて足をつけます。時間は10分程度で1度足を出し両足が赤くなっていれば終わりますが、状態が悪いといずれか一方の足が赤くならないことが多いので、赤くなっていない方の足を再度5分温めます。コップ1杯程度の熱湯を用意しておき、足し湯をしながら行ってください。1日2回から3回行うのが理想的です。

〇 加湿 ― 体内水分の維持

身体の水分蒸発を防ぐことは高齢者の健康を維持する上で非常に高い重要性があります。身体の水分蒸発を防ぐには、室内の空気の湿度をやや高めにする必要があります。水分は 濃度の高いところから低いところへ流れます。室内の水分濃度(湿度)が下がると身体からの水分蒸発が盛んになり身体は水分を失います。これを予防するために加湿を行います。加湿器、または部屋で蒸気を発生させるように常に水を沸かすと効果的です。認知症などでどうしても危険が伴う場合は部屋にバスタオル程度の大きさの濡れた布を常時干していただくだけでも効果的です。体に最適な湿度は 60 パーセント位といわれていますので湿度計を設置して目安にすると良いでしょう。方法は簡単ですが、健康維持にとって非常に重要なことですので、ご家族にその重要性をご理解いただき自宅でも是非実践していただけるよう指導してください。

〇 乾布摩擦・腹式呼吸 ― 気の循環促進、冷えのぼせ予防

高齢者は身体の恒常性を保つカ=自律神経の働きが弱くなり、日々体調が変化しやすく、また1日の中でも体温や血圧の変動が大きいものです。東洋医学ではこれを「気の循環不足」と考えます。またこの気の循環を担うのは肺=呼吸器系といわれ、体調の変化が激しい場合は肺の機能を調整するように治療します。肺の機能を高めるには呼吸機能を高める呼吸機能を高める必要があります。呼吸は肺呼吸の他に皮膚呼吸も重要な役割を果たしているため、この皮膚呼吸を活性化する乾布摩擦を行います。東洋医学では「肺は気を降ろす」という機能が重要視されます。つまり頭部に気が集まると神経興奮や頭痛、めまい、認知症などを引き起こしやすい「のぼせ」の状態になるため、上部に集まった気を降ろすのが肺の役割というわけです。これに対しても乾布摩際は有効で、肺を活性化して気を降ろして循環を促進し、冷えのぼせを改善することができます。
方法はタオルで背中の上部(肩甲骨の間)、腕などを軽く摩擦します。1回3分を目処に朝・夕2回行うと効果的です。入浴前でも結構です。また東洋医学では「肺は理性を司る」といわれており、倦怠感ややる気が起こらない、軽度のうつ状などの場合にも効果が期待できる場合があります。
腹式呼吸も気の循環を整え呼吸機能を高めますので、自律神経の調整にも効果的です。

〇 歩行と日光浴 ― 気血の循環促進、カルシウムの摂取促進

歩行は乾布摩擦と同じく呼吸機能を活性化して気と血液の循環を促進します。日常の家事や通勤で運動できていますという声をよく耳にしますが、身体にとって有効な運動にはなっていません。何か目的があったり、急いでいるときの運動は精神の緊張状態のため血管が収縮して筋肉に疲労を起こし逆効果になります。歩行のための歩行の時間を設けることによってリラックスした精神状態を作ると、血管が弛緩して血行がよくなります。この状態で歩行していただかないと効果が得られませんのでこの点に留意して歩行を行うよう指導してください。1日1万歩が理想と一時期いわれていましたが、最近では15分程度の歩行を1日2回行うのが理想的だといわれています。臨床上でもこの歩行をお勧めして効果が上がっています。

〇 食事 ― 薬食、脂質の摂取、控えていただくべきもの

「薬食」というのは私の造語です。薬になる食事という意味でこういう言葉を使いましたが、高齢者にとって薬になる食事、これがお粥です。一般にお粥はカゼや胃腸の調子が悪いときに消化がいいからという理由で摂取されますが、漢方ではお粥は胃腸の薬になると考えます。胃腸の薬になるということは、前述の後天の気を高めることになります。また陰気を補う薬としての効果も期待できますので、高齢者にとっては非常にバランスの取れた「薬食」というわけです。漢方発祥の地中国のように朝はお粥を摂取するというような習慣を付けていただくといいでしょう。また高齢者だけでなく乳児の健康維持のための離乳食(この場合は重湯にして)に使用しても、夜鳴きや癇の虫の治療になります。
また高齢者特有の「乾き」(膠成分=コラーゲン低下)による関節痛や変形を予防するため適量の肉食も必要です。週に2~3度摂取されると良いでしょう。
前項までに食事についていろいろ触れましたが、ここで再確認しておきます。それは「乾き」の元になる余計な熱量を抑えていただくということ。具体的には糖分、アルコール、サプリメント(エネルギー量の高いもの)を控えていただくことが高齢者の食事について一番留意していただきたいことです。特に糖分は熱量を高めると共に、神経興奮、のぼせの大きな原因になるばかりか、東洋医学的には「緩み」を誘発するといわれています。筋肉は弛緩と収縮によって運動していますが、弛緩傾向が強くなると運動が均衡に行われなくなります。これは随意筋(運動するための筋肉)、内臓にある不随意筋(内臓を形成する、自然に動く筋肉)の両者に起こりますので、運動能力低下や内臓の機能低下の原因になります。また熱量が多くなると肌荒れや湿疹、かゆみなどの症状が起きやすく、炎症も起きやすいため傷の治りも遅くなる傾向が表われます。一方、精神的にも「緩み」が起きやすく、倦怠感や不安感、根気がなく寝てばかりになるというような、うつ傾向の状態も起こしやすくなります。

〇 カルシウム摂取の留意点

カルシウム摂取のために乳製品を取っているという話をよく耳にしますが、東洋医学では気や血液の循環停滞や冷えを起こしやすくなるため乳製品は控えるように指導しています。中でも牛乳は、戦前では下剤として用いていた歴史もあるほどで、普段から軟便の方や体が冷え傾向にある方には特に控えていただきたい食品のひとつです。カルシウムは、小魚(おじゃこ、丸干しなど)やひじきなどから摂取していただくのが理想的でしょう。またサプリメントで摂取されている方も多いのですが、過剰にとりすぎると結石などの原因にもなる場合がありますのでなるべく食品から摂取するよう指導してください。

4章 高齢者のための「経絡マッサージ」

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