セラピーオフィス ラサルーテ 文献より

ギックリ腰、腰痛の真因と対処法

痛みの項でも記しましたが、外傷以外の痛みのほとんどは内臟の異常や気の停滞を知らせる生体反応です。

加えて、急性的に起こるギクッと走るような痛みは神経過敏や組織の水分不足から起こります。

ギックリ腰は「重いものを持った」とか「無理な姿勢をした」など、物理的な要因から起こるという認識をお持ちだと思いますが、これは大きな誤りです。

ギックリ腰になった経験のある方は思い起こして頂くと思い当たることがあると思いますが「多分あの時におかしくなったのだろう」とか「確か昨日重いものを持った」など、ハッキリこの時から悪くなったと分からなくでも無理に原因を探されたのではないでしょうか?

筆者も臨床で、「多分重いものを持ったと思う」「夜中、変な格好をして寝ていたと思う」という推理的表現をよく耳にします。
すなわち、ハッキリした原因があって起こったわけではない、ということです。

もちろん実際に物理的要因で起こっているものもありますが、背筋力の平均は男性30代でおよそ130kg、女性30代で80㎏と言われています。

こんなに重いものを持つことはまず無いはずなので、これ以下のもので筋肉を傷めるとするならそれは筋肉自体に問題があったということです。

その筋肉に痛みや問題が起こる原因は、

○神経興奮や神経過敏による筋肉の硬直、弛緩作用低下、痛みの増強

○血液循環の障害による筋肉を養う栄養素や酸素の不足

○貧血や赤血球の異常による酸素の運搬不足

○外的要因の冷えなどによる筋肉の柔軟性不足

○組織の水分低下による筋肉や靭帯などの柔軟性不足

などが考えられます。
上記の異常の源になるのが各臓器の働きの異常であり、五行で考えると、

○内臓の働きの異常

1.肝臟異常→筋肉や靭帯などの過剰収斂、横隔膜収縮、神経過敏

2.心臓異常→血液循環不良、体温低下、血圧上昇や体温上昇に伴う水分低下

3.消化器異常→水分吸収の低下、消化吸収の低下により筋肉の柔軟性維持に必要な栄養素の減少

4.呼吸器系異常→カゼなどによる筋肉の炎症や発汗過多による水分低下

5.腎臟異常→高血圧、頻尿などによる水分低下、腎機能低下による水分吸収能の低下

と捉えることが出来ます。

また痛みの部位によって五行の何れに問題があるかを大まかに見分けることができます。

痛みの部位別にどの臓器の気の流れに問題を起こしているかと、その治療点を記します。

○腰の赤に塗った部位が痛むときは、肝臟、胆のうの気の流れの異常です。
貧血、神経の昂り、イライラ、強い緊張やストレスにより誘発されます。
2の心臓の異常もこれに類します。赤いシールの部位を治療します。

○腰の青いシールで示した部位が痛むときは、胃腸の気の流れの異常です。
飲食過多、胃の痛み、便通の異常などにより誘発されます。
胃腸の機能は東洋医学では「脾」と表され、組織を弛緩させる働きを担うと言われています。
従って胃腸の機能の異常は筋肉を緩める=緊張や疲労から回復させる力が弱ると考えられますので、それが元で筋肉を傷めてしまうケースがあります。
足と背中の青シールの部位を治療します。

○腰の黒シールで示した部位が痛むときは、腎臓、膀胱の気の流れの異常です。
水分代謝異常、カゼ、インフルエンザなどの高熱のときにも強い痛みが現れます。
4の肺の異常もこれに類します。
足の黒シールの部位を治療します。

またこむら返りはこの足の黒シールの部位に起こり易く、汗をかいた後など水が足りないときに起こるのでこの部位を治療します。
またこむら返りが起こる土台は神経過敏なので肝経と胆経=足の赤シールの部位をマッサージしてください。

通常、痛みは筋肉の損傷といいながら揉みほぐしたり、冷えから来ると言いながらシップをしたりと、矛盾のある治療が氾濫しています。
これが元で慢性化したり、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに進行することもあると考えられます。

養生としては、
アルコールは神経を興奮させるので痛みがある間は絶対禁止です。

炎症(腫れ、熱、発赤)が無ければ温めるのが良いのですが、コタツやカイロで長時間温めすぎると乾燥して筋肉が潤わず治りが遅くなります。

温めて良いか冷やすのが良いか分からない時は軽くお風呂に入ってみて、疼くようなら一時的にシップを、心地よく痛みが軽減するようなら温める方が良いでしょう。

また筋肉が弱っている、鍛えないと治らないなどの理由で運動を行うと悪化することが大半です。
有酸素運動などは有効ですが、強い痛みが軽減してから行って下さい。

また腰痛に関連する疾患として、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアが多いのですが、これらの原因は、

脊柱管狭窄症は黄色靭帯や軟部組織が収縮肥厚すること、椎間板ヘルニアは縦方向の収縮作用が起こることによって圧がかかり椎間板が押し出されること、

いずれも収縮作用が原因です。
この収縮は肝が担いますので、肝に負担をかけるアルコール、ストレス、イライラ、セカセカ、怒り、貧血、精神的興奮、パソコンやゲームなど多量でスピードを要求される情報処理、神経過敏・・・などを控えることが改善、予防につながります。


次回は、今回の続き <横隔膜と喘息・胃の痛み・腰痛> を掲載致しますので、お楽しみにお待ちください!