セラピーオフィス ラサルーテ 文献より

シップ

痛みやシビレの治療として整形外科などでシップを処方されることがあります。
シップは基本的には消炎剤であり、炎症を治療するための薬です。
それにも拘らず、慢性的な凝りや神経痛、シビレにまで処方されていることがあります。

このような症状でもシップの清涼感で感覚が変わり、症状が緩和したように感じますが実際にはほとんど効果は期待できません。

またシップに配合されているメントールやハッカの成分は、漢方では停滞している気を散らすことによって「涼=冷やす」作用がある生薬として使用されます。
長時間や連続使用により冷えが生じてしまいます。

慢性痛は温めて血行を良くすることで緩和するケースが多く、この場合にシップを使用することは逆効果になることもあります。
特にカゼで悪寒がある場合は悪化することが多いので使用しないでください。

また就寝前に貼って一晩中貼りっぱなしというお話もよく耳にしますが、これは皮膚からの水分蒸散や熱放散を妨げますので回復を遅らせ慢性化させることもあります。
必要な場合でも活動時に2~3時間貼る程度にしてください。

足裏に貼って疲れを取るというCMもありますが、これは足を冷やし自律神経を乱す原因になることがあるので絶対にお薦めできません。
足裏が火照るという場合はすでに自律神経にバランスの乱れを生じていますので、自律神経を整える治療が必要になります。

ご相談で多いのが、「温める方がいいか、冷やす方がいいか?」という、痛みに対する対処法についてです。
炎症兆候=腫れ、発赤、熱が顕著であれば一時的に冷やしたりシップをする。
例えば内出血など傷付いた血管を早く収縮させ、一時的に起こっている熱を解消するだけ、と考えて下さい。
(血管から漏出した内出血は押し流すようにマッサージすると早く吸収します)

顕著な炎症兆候が無い場合、お風呂に入って心地良いようであれば温熱治療を、入浴するとズキズキ疼いてくるという場合は一時的にシップや冷却剤などを使用する、という感じで判断する基準になさって下さい。

繰り返しますが、シップの連続使用はお控え下さい。
涼性のものを続けていると、自律神経は「冷えているからその部分を温めないといけない」という命令を出し、その部分の熱、炎症が取れにくくなり慢性化しやすくなります。
シップのご使用にはくれぐれもご留意下さい。


次回は、今回の続き <一般的な低周波治療> を掲載致しますので、お楽しみにお待ちください!