セラピーオフィス ラサルーテ 文献より

痛みについて

身体の至る所に起こる痛み。感覚を感知、伝達する神経があるところは全て痛みを起こす可能性があります。
痛みの科学的機序は脳に情報を伝える神経が、痛み刺激の情報を脳に伝えることによって起こります。

外傷や外部からの刺激に対して痛みが発生することは当然の反応であり分かりやすい現象ですが、整形外科や接骨院などに相談される痛みのほとんどは外的異変の見当たらないものです。

東洋医学では痛みの原因を「気の停滞」と考えます。

身体のあらゆるところに流れている経絡。
経絡とは各内臓に送るための気が流れる道筋のこと。
五臟六腑+全身こエネルギーを送るルートの計12の経絡が流れています。

この経絡の気が停滞することが痛みの原因であるとされています。
ではその気が停滞する原因は何でしょうか。

1.その経絡が属している臓器に何らかの異変が生じている。

2.その経絡が属している臓器に送るべき気. 経絡が何らかの原因で阻害されている。

3.胃腸で産生される各臓器を養う気、これがうまく造れずに流れが緩慢となり停滞する。

などがその主な原因です。

1は臓器の異常を知らせる警報機のような役目を果たす痛みです。
この状態を放置、あるいは何らかの方法で痛みだけを消すということは、火事を消さずに 警報機だけを止めるようなもので非常に危険です。
臓器の異常はそのまま進行し、限界値を超えたときに内臓疾患として西洋医学でも認知される病気が発生します。

警報機が鳴っている状態で臓器の異常を感知して治療するのが東洋医学の最も優れた特徴であり、この治療を指して「未病を治す」といわれます。

最近では西洋医学でも狭心症発作の前駆症状として肩甲骨や手の小指周辺に強い痛みが発症することがあるということも認めるようになりました。
ただ実際の臨床現場ではまだまだこのような認識はなされていないというのが現状です。

前駆症状は狭心症のみならず様々な疾患に現れるので、これから西洋医学でもこのような前駆症状の研究が進むのではないでしょうか。
東洋医学的知識を基にすればかなり効率よく前駆症状の発見がなされると思います。

2は経絡の流れを阻害する原因が体内に生じているということを感知できる痛みのケースです。
東洋医学ではこの経絡の流れを阻害する原因を「風、寒、暑、湿、燥、火」と表しています。

これらはこのような環境の場に居たときに身体に起こる反応が経絡の停滞を引き起こす原因となることを表しています。
それぞれの原因によって痛み方や停滞の状態が変わるので停滞部位の状態を診ることで原因を特定できます。

これらに対処せず、痛みだけを消すような治療を続けることで、根本原因が改善されずに現代病が発症してしまう、というケースを臨床では多々経験します。
もっと早い段階で対処できていれば・・・残念に感じるとともに縁や生まれ持っておられる課題などにも関連するのだろうと思わずにはいられません。

3は食の偏りやストレスなどによる胃腸障害が原因で、本来造られる各臓器に分配するべき「気」が産生できなくなり経絡に流れる気が減少して痛みを起こすケースです。
この場合には経絡の流れている部位の筋肉の張りが無くなったり肌質が悪化したりするので気の減少が察知できます。
この段階で食の改善や胃腸の治療、ストレスの軽減などを心がけることにより「未病を治す」ことができます。

「慢性病」や「精神症状」、「狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの急性疾患」、
これらはいずれも身体のどこかに起こっていたであろう痛みという警報機を、筋肉や関節の障害として部分的治療や原因に合わない治療を行った結果、本態である現代病の原因を放置することによって発症します。

また痛みはその部位だけの異常で、「炎症」「血行障害」「冷え」などが原因であると考える唯物的常識の落とし穴です。

本当の痛みの原因は上記のような
「気の停滞」=「神経の異常」=「働きの異常」
であることを認識することが現代病の治療や予防の上で最重要な認識であると考えられます。

要約すると

「外傷以外の痛みの場合、痛みがある部位そのものに原因や治療すべき場がある訳ではない 」

ということです。
このような本当の痛みの原因を追究しているかどうか?ということを治療法や健康メソッドを選択するための判断基準として頂くとよいでしょう。

 

痺れについて

痺れも痛みと同じく警報機として起こることが多い症状です。
これは痛みよりは「他の疾患からきているのではないか?」と捉えられることが多いようです。

一番心配されるのが脳の疾患、脳梗塞や脳出血から起こる症状ではないかということ。

確かにこれらから起こるケースもありますが、この場合には急な痺れの発症が多く、ジワジワ起こる痺れでも脳梗塞のこともありますがこの場合には非常に小さな梗塞であり、発作的に起こる脳疾患の場合にはやはり急で強い痺れや動かしにくいなどの症状として現れます。

また血行障害、冷えから起こると考えられるのが一般的です。
もちろんこの原因から起こるのですが、これはいずれも「血液」に着目した原因です。
本当に重要なのは「血液の流れが何故悪いのか?」ということ。
これを推測することが現代病の原因を知ることに繋がります。

血液の流れを悪くする原因は、

○血液内に物理的成分が多い=食の過多、エネルギー摂取過剰

○精神的抑圧、ストレスや緊張による血管の収縮

○精神的抑圧、ストレスや緊張による筋肉や組織の収縮や硬直が血管を圧迫

○心臓のポンプ機能、脈拍のリズム、酸素取り込み量などの異常などが考えられます。

また血流に問題がない場合でも起こる痺れは「神経の機能異常」「神経の伝達障害」が考えられます。

○血流障害などの物理的要因がないにも関わらず神経が血流障害を起こしているかのような痺れの信号を送ってしまう

○神経が過剰に興奮して痛みや痺れ刺激を伝達してしまう

これはパソコンやゲームによって長時間過剰な情報入力にさらされたり、非常に早いペースで情報処理を迫られる環境によって神経系が過剰な反応を起こして伝達エラーを起こした結果痺れを感じるということが原因であり、
この神経過敏が現代病の大きな原因になっていることから、痺れが現代病の前駆症状、前兆として現れている場合も多く、
この段階で神経過敏を起こしている原因を改善することが「未病を治す」ことに繋がります。

新薬による治療や、低周波などの通電治療はこの神経伝達のエラーにショックを与えてごまかしてまう可能性があり、

これでは火事を消さずに警報機だけを切るという現代病を進行させる要因になってしまいますので痺れの原因を脈や望診で察知する東洋医学の診断法によって未病の治療に繋げていただきたいと思います。


次回は、今回の続き <肩こりの真因と対処法> を掲載致しますので、お楽しみにお待ちください!